失敗談:UMLのシーケンス図をドヤ顔でプレゼンに使ってヒエッヒエ

ふと昔の失敗を思い出したので書き留めておく。

何が起きたのか

私がまだ駆け出しエンジニアであった20代前半の頃の話だ。当時、私は社内SEであった。

その日、私は販売の統括マネージャーにプレゼンテーションを行った。内容は新規開発予定の社内用のシステムについて、だ。

私はその頃やる気のあるエンジニアで――今でもそのつもりだが――、その頃学んだばかりのUMLを設計に取り入れていた。十数年前にUMLを使っていたのはかなり早いほうではないかと思う。当然のように私はプレゼンにもシーケンス図を使ったイケている資料を作り、マネージャー達に堂々と披露した。新しく学んだ技術を大いに使いこなしてドヤ顔する気満々の若造であったわけだ。

もちろん悲惨なプレゼンとなった。

今思えば当たり前なのだが、UMLの見方をマネージャー達は知らなかったのである。見方のわからない図をこれ見よがしに見せられた統括マネージャー達は――もちろん私より偉い人たちだった――、困惑した顔をするばかりだった。どうなるかはお察しだろう。部屋は空回りした雰囲気に包まれたのだ。

ひとしきり説明が終わった後、マネージャーの一人に私に伝えた感想は、もちろん称賛などではなかった。プロジェクトに関することでさえなかった。

「まあ、君が頭がいいのはよく分かったよ」

であった。今思い出しても血の気が引く思いがする。

結局、開発することに対しては許可をもらえたと記憶しているが、それはプレゼン内容に納得してもらえたからというよりも、別の社内的な事情によるものであったと考えざるを得ない。

目的をはき違えてはいけない

失敗の具体的な理由は、受け手のことを良く考えていなかったことだ。だがこの場合、目的をはき違えていたことが根っこにあった、と思う。

どういう理由で何を作ろうとしており、それがどんなメリットをもたらすのかについて理解してもらい、賛同を得る――できれば有益なフィードバックも貰う、といった結果を得ることに対してフォーカスしなければならなかったはずだ。それなのに、新しく学んだ技術をうまく使うことのほうに意識が向いていた。だから気づいてしかるべきことに気づかずに、独りよがりな資料を作って空回ったのである。

技術の強い興味を向けるのは悪いことではないと思う。だからこそエンジニアができるのだ。だが、それが悪い方向に出ると痛いことになる。意識して自戒しなければならないところだろう。